ヤフーの場合、ポータルサイトであるのと同時に検索エンジンでもあるのだが、現在は、ヤフーのトップページから階層をたどって求める情報に行くというより、以前に比べると「検索窓」の機能の方が高まっているのではないか。実際、多くのインターネットの利用者が最初にするのは、まずウェブブラウザを立ち上げ、ツールバー内の検索ボックスに文字を打ち込むことであろう。ショッピングの際に購入したい商品の候補がいくつかあるケースでは、利用者は、やはり検索結果で表示されたいくつかの比較サイトをめぐり、その中の、自分と同じ目線に立った他の利用者の生の声(レビュー)を閲読し、それらを参照した上で商品を絞り込み、リアルショップなりインターネットショップなりで購入する。従来なら、購入プロセスはこれで完結していたが、最近はそれにとどまらず、インターネットの利用者が自分の購入した商品の評価をブログなどを通じて発信し、その情報が別の消費者にとっての新たなレビューとなっていくサイクルが生まれつつある。このサイクルは、メーカー発の手前味噌の情報や、(そうしたメーカーの提灯記事を書いているような)いわゆる評論家の評価を介さない、ネット独特のものだ。動機づけから購入・共有・評価に至るこうしたサイクルは、マーケティングの世界において、「AISAS(アイサス)」「AISEAS(アイシーズ)」の法則と呼ばれ、理論化・体系化も進んでいる。話が少しそれてしまったが、ここで強調しておきたいのは、このような購入サイクルのもとでは、ポータルは通過サイトの一つでしかなく、しかも、インターネットの利用者は、ポータルの権威やそこに貼られた広告(広告主の一方的なメッセージ)よりも、「ごく普通の他人」の評価を重視する傾向が強まっているということである。たとえば「価格・com」がそうだ。ここでもやはり、ポイントとなってくるのは「個々人のつながり」なのである。この傾向は物品の購入に限らない。情報の取得や発信など、インターネット全体を通して増加してきており、従来「末端」や「受け手」など、どちらかと言うと下に見られてきたインターネットの利用者や消費者の「発言力」インターネット的な言い方にならえば、利用者や消費者発の「トラフィックの量」それが激増しているのである。これも個々人のつながりと見ることができ、ここに次のビジネスの「芽」が埋もれている。