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百貨店と路面店、ブランド側の二枚舌

ブランドは現在、百貨店の中に店を構えるだけでなく、路面店にも力を注ぎはじめている。売場を構える百貨店のすぐそばに路面店を出すというケースも珍しくない。いくら百貨店がブランドに甘く、広いスペースを割いてくれても、百貨店の中である以上制約があるが、路面店ならば好きなだけ「ブランドの世界」を演出できる。しかもバブル崩壊後、商業地の銀行や証券会社の支店が次々に店をたたみ、好物件が豊富に出揃うようになってきた。路面店出店をバックアップする条件が整い、各ブランドが争うように路面店を開いている。路面店展開の理由をルイ・ヴィトンジャパンの秦郷次郎社長は、こう語っている。日本の百貨店任せにしておくとサービスの水準が低下してしまいがちなので、独白に質の高いサービスを手がげたい。(日経BP社『日経ビジネス』一九九八年七月二〇日号)百貨店のサービスは、ブランド側にこんな見方をされているのである。もっと怒って発奮してもいいと思うが、そうもいかないのが今の百貨店なのだろう。もっとも、路面店が増えているからといって、ブランド側が百貨店への出店をやめるという事態は現時点では考えにくい。百貨店の立地は良く、集客力も高い。好物件が手に入りやすくなったとはいえ、これほどの立地を全国的に入手するのは困難だ。日本は、主要都市に必ず百貨店があり、地域客の支持を集めている。第一、百貨店はブランドの要求をことごとく呑んでくれるのだ。水面下では悪態をつきながらも、結果的にはブランドのいいなりだ。百貨店のグランドフロアがブランドに占領され、大商業地の百貨店のすぐ近くにはいきなり路面店が誕生するという光景は今後も続くことだろう。職人が地道につくり、完成させた製品を限られた特権階級だけに供給するという従来型のブランドビジネスが変貌している。現在のブランドビジネスの主役は、巨大な資金力をバックにこれぞと思うブランドを次々に吸収合併し、世界的に事業を展開するブランドグループだ。ここでは、銀座や表参道の街並みをブランド一色に塗り替え、老若男女を問わずできるだけ幅広い層にブランド品を売りつけようとする、大量生産、大量消費型に変質したブランドビジネスの実態を紹介する。