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最初の白い光のイノベーション

白熱ガス灯は、エジソンによって実用化されたばかりの「炭素フィラメント電球」の普及を30年にわたって遅らせるほど、家庭から産業界にまで広く普及して、「最初の白い光のイノベーション」となった。ウェルスバッハはまた、マッチ仁代わる「発火合金」を発明して、白熱ガス灯をシステム化した。その背景には、希土類元素産業の宿命である「原料のくびき」があった。希土類元素はどれも化学的な性質が似通っていて、一つの種類だけが単独で採掘されることはない。原料である鉱石には、たくさんの種類の希土類元素化合物が同時に含まれている。だから、「必要な希土類元素だけを生産する」ことは不可能なのである。いずれかの元素を取りだすと、自動的にほかの何種類もの元素が産出されてしまう。したがって、需要の少ない元素は、必要な元素の生産コストを上げるだけでなく、余って無駄になるか、もしくは在庫として場所をとるわけで、よいことは何もない。発火合金は、マントルの生産過程で大量に生産され、そのまま死蔵されているセリウムを利用したものだ。じつはウェルスバッハのマントルは放射能をもっていたのだが、そのマントルが放射性ではない材料に代わったのは、20世紀も終わりになってからのことであった。