ワインで頬を赤くしたMさんは以前よりずっときれいになっていた。しかし、悲しいことにU医師はもう背伸びの仕方を忘れてしまっていた。だから、その夜、ホテルにツインの部屋をとったのだが、U医師はMさんを残して帰ってしまった。「なんだかさあ、このまま寝ちゃったら、おれの中の一番大事なものが壊れちまいそうなんだよ」U医師は照れくさそうに頭をかきながらホテルの部屋を出た。「私に恥をかかせるのね」Mさんの目がうるんでいた。その後、この夜の光景を想い出すたびにU医師は後悔した。寝ちゃえばよかったのに、なにをそんなにつっぱる必要があったのか、と。「バカだよなー、あんないい女と寝られるチャンスなんてもう2度となかったんだぞ」と、声に出して一人淋しく笑いながら独身寮の万年床にもぐりこんだものだった。